PCクラスタワークショップin 神戸2022
「クラウドとHPC」

会期 2022年6月23日(木)~24日(金)
会場 理化学研究所 計算科学研究センター 1階セミナー室(神戸市)
兵庫県神戸市中央区港島南町7-1-26 〒650-0047 
開催形式 現地(定員30名)と、Zoomによるオンラインのハイブリッド型運営
共催 理化学研究所 計算科学研究センター
参加費 無料参加登録受付は終了しました。

開催趣旨

クラウド技術はその利便性により今や当たり前のように用いられ、特にビジネスアプリケーションはさまざまなクラウドサービスの上に構築されるのが「普通」になってきました。HPCの世界でも「クラウドとの連携」、「クラウド的運用」、「クラウドでのHPC利用等」、さまざまな観点でクラウド技術の活用が広がっています。
一方で、クラウドとHPCは、技術的なバックグラウンド(歴史的経緯)や利用目的が異なる側面もあり、従来のHPCが単純にすべてクラウドになるかというと、そうではないと思います。クラウド技術によりHPCが利便性を享受するためには、何が必要で、何をやっていかないといけないかを理解していく必要があるのではないかと考えています。
本企画では、計算資源の提供形態、システム運用、システム間連携といった側面から、「クラウド」と「HPC」を提供・運用する側から、現状の技術を紹介いただき、HPCがクラウドの利便性を享受するために、どのような技術的・制度的工夫が必要になるかをディスカッションしたいと思います。

プログラム

6月23日(木)10:00~17:50

10:00~10:10

開会挨拶

佐藤三久(PCCC会長/理化学研究所)

10:10~12:30

会員企業による技術紹介

10:10~10:40

「富士通のクラウド・コンピューティングの取り組み」

岩松 昇(富士通株式会社)

講演概要を開く

「Fujitsu Hybrid IT Service FJcloud」は富士通の提供する高信頼の国産クラウドサービスです。本講演では、FJcloudの各サービスの特長とクラウド基盤における運用技術を紹介いたします。また、スーパーコンピュータ「富岳」の技術を採用し、新たに提供を開始した「Fujitsu クラウドサービスHPC」についてもご紹介いたします。

10:40~11:10

「NECの考えるHPC・クラウドの現状と将来」

泓 宏優(日本電気株式会社)

講演概要を開く

NECは今年4月に「SX-Aurora TSUBASAクラウドサービス」を提供開始しました。その概要と、今後のロードマップに関して解説いたします。

11:10~11:30

「日立製作所 研究開発グループにおけるオンプレ/クラウドのAI/HPC環境」

清水正明(株式会社 日立製作所)

講演概要を開く

日立製作所研究開発グループでは3,000人弱のAI、メディア、データサイエンス、制御、エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケア、材料、機械、生産等の広い領域の研究者にオンプレおよびクラウドのAI/HPC環境を提供している。本講演では、オンプレ/クラウドの併用方針と、AWS上に構築したAI/HPC環境について紹介する。投入されたジョブに必要なインスタンスを動的に起動/削除し、Lustreをフロントエンドとしながらもジョブが終わるとs3にアーカイブして費用を削減する。また、産総研との共同研究の成果であるcloudqインタフェースでs3経由でジョブを投入することも可能である。

11:30~11:50

「Oracle Cloud Infrastructure (OCI)とHPC」

松山 慎(日本オラクル株式会社)

講演概要を開く

OCIは最新技術を用いたベアメタル含むコンピュートと高速で堅牢なストレージ、それらを繋ぐフラットなネットワーク、様々なマネージドサービスや構成テンプレートなどを低価格でご利用頂けます。東京、大阪両リージョンはどちらもSINET6に接続され、SINET6を介した通信の転送データ量は無制限に無料となります。
HPCにおけるクラウドサービスの弱点の多くを排除したOCIの特長をご紹介させて頂きます。

11:50~12:10

「Cloud native supercomputingのご紹介」

岩谷正樹(エヌビディア合同会社)

講演概要を開く

クラウドのようなマルチテナント環境での利用では、各ユーザやワークロードが同時にマシン環境ネットワーク環境を使うことが多くそれらのマルチテナントとパフォーマンス確保の両立は非常に重要課題と言えます。我々NVIDIAでは、クラウドだけではなくオンプレミス環境においてもこのネットワークにおけるマルチテナントアイソレーション各ワークロードのパフォーマンスアイソレーションを実現するQuantum-2 InfiniBand platform技術を用いたCloud native supercomputingコンセプトについてご紹介させて頂きます。

12:10~12:30

「Pacific Teck の『雲を掴む話』」

森本賢治(Pacific Teck Japan)

講演概要を開く

既に幾度となく語られてきた「HPC」と「クラウド」。実の処それぞれに明確な定義があるわけでもなく、なんとなくのイメージが先走るなか、変幻自在で掴みどころのないクラウドを捕らえて、的確にハイパフォーマンスを享受するため、様々なソリューションやアイデアが提案されている。本セッションでは、弊社のポートフォリオから、ポータビリティとデータハンドリングに関するものを中心に、今現在及び今後の展開について紹介する。

12:30~14:00 昼休み

<周辺ランチ情報>

14:00~16:30

クラウド運用技術

14:00~14:30

「AWS ParallelCluster で創る自分だけのクラウド HPC クラスタ」

宮本大輔(アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)

講演概要を開く

AWSでは、HPC特化のインスタンスタイプ(サーバの種類)であるHpc6aや、MPI向けネットワークアダプタのEFA、Lustre のマネージドサービス等のHPC関連サービスが提供されており、既に国内の製造・製薬・半導体設計・金融・気象予測といった様々な業種業界で活用されています。本講演では、簡単にスケーラブルなクラスタを構築できるAWS ParallelClusterに着目し、自分専用にカスタマイズしたクラウドHPCクラスタの創り方をご紹介します。

14:30~15:00

「新しいクラウドHPCとMicrosoft Azureの最新情報のご紹介」

五十木 秀一(日本マイクロソフト株式会社)

講演概要を開く

HPC業界のハードウェアやソフトウェアは日々進化しています。また、Microsoft AzureのHPC関連リソースやサービスも常に進化し続けています。オンプレミス環境だけでは実現不可能だったことや、これまでは考えられなかった利用方法がクラウドHPC環境によって実現可能になります。本講演では、Microsoft Azureの最新情報とAzureを活用したクラウドならではの利用事例をご紹介させていただきます。

15:00~15:30

「Google Cloud におけるシステム運用、システム間連携」

木内満歳(グーグル・クラウド・ジャパン合同会社)

講演概要を開く

パブリッククラウドサービスは、便利で高品質な多くの機能を提供していますが、一方でそうした機能を使いこなすためには、利用者側にも高い理解力が要求されるという特徴があります。またシステムを運用するに連れて、運用に求められる要件は変化していきます。Google Cloud は先進的な運用支援サービス、連携サービスを提供し、変化する要件に対応し、生産性と信頼性を両立した運用の構築を支援いたします。

15:30~16:00

「クラウドとHPCを支えるデータセンターのお話」

鷲北 賢・松本 直人(さくらインターネット株式会社)

講演概要を開く

日本国内でクラウド・コンピューティングが普及してから10年が経過しました。さくらインターネットではクラウド、HPC、データセンターの利用種別を問わず、さまざまなお客様の利用シーンを支えて続けています。本講演では商用クラウドやHPCの立ち上げから運用、経験のない災害時の対処までお客様の利用シーンを支えつづけた経験とノウハウについてお話いたします。

16:00~16:30

「NTTデータが考えるクラウド活用の勘所と取り組み紹介」

本橋 賢二(株式会社NTTデータ)

講演概要を開く

クラウド技術は既にビジネス領域でも当たり前に使われるようになりましたが、次々に登場するクラウドサービスを効率的かつ最大限に活用し、ビジネス拡大につなげるためにはこれまでとは異なるマインドを持って取り組む必要があります。本セッションでは、クラウドサービス活用のために必要なケイパビリティをご説明し、弊社のクラウド戦略および今後の取り組みについて紹介いたします。

16:30~16:40 休憩
16:40~17:10

ユーザー事例

「クラウドとHPCを併用した機械学習プロジェクトのResDevOps事例」

濱田直希(Klab株式会社)

講演概要を開く

機械学習プロジェクトでは、必要に応じて最新モデルを研究開発しつつ、タイムリーに運用現場まで届けることが求められる。KLabでは、研究・開発・運用の三者が連携し、お互いを加速するResDevOpsとよぶプラクティスを実施している。本発表では、その一例としてKLabにおけるリズムアクションゲームの譜面制作支援に関するプロジェクトを紹介する。深層学習の研究に必要な大規模実験をHPCクラスタで行い、実験結果やモデル、ソースをクラウドで共有することで研究サイクルを加速した。日々改良されるモデルをクラウド上の譜面制作支援システムにデプロイし、実運用からのフィードバックを受けながら研究を進めた。
本研究は九州大学櫻井研究室との共同研究であり、九州大学情報基盤研究開発センター研究用計算機システムの重点支援制度を利用した。

17:10~17:50

HPCセンターからの技術紹介(1)

17:10~17:30

「『富岳』のクラウド利用に関する取り組み」

山本啓二(理化学研究所)

講演概要を開く

理化学研究所ではスーパーコンピュータ「富岳」のさらなる利用拡大・利便性向上を図るため、「富岳」の計算資源を活用したクラウド的な利用サービス「富岳クラウドプラットフォーム(FCP)」を展開しています。クラウド技術やアプリケーションサービス技術を擁するサービスプロバイダー事業者と連携することで、「富岳」の新たな利用スタイルを提供します。本講演では、クラウド利用に関する取り組みについて紹介します。

17:30~17:50

「ABCIの現状と課題」

高野了成(産業技術総合研究所)

講演概要を開く

産総研が2018年8月から運用するAI橋渡しクラウド(ABCI)は、人工知能(AI)に関する最先端の研究開発を加速するオープンイノベーションプラットフォームとして、大規模なHPCシステムをベースに各種クラウド技術を導入して構築されている。本講演では、計算資源の提供形態、システム運用、パブリッククラウド連携といった側面から、ABCIの技術・制度・課題について紹介する。

17:50 第1日終了

6月24日(金)10:00~15:00

10:00~12:00

HPCセンターからの技術紹介(2)

10:00~10:20

「北海道大学におけるスパコン・インタークラウド連携について」

棟朝 雅晴(北海道大学情報基盤センター)

講演概要を開く

北海道大学情報基盤センターにおいては、2011年より北海道大学アカデミッククラウドのサービスを提供し、2018年からはハイパフォーマンスインタークラウドとして、スパコンとも密に連携した高性能な広域分散クラウドサービスを提供している。本講演では、広域分散クラウド上でのビッグデータ処理システムの資源割り当て最適化や、本学における研究DXの実現に向けた検討状況も含め、関連する取り組みや課題について紹介する。

10:20~10:40

「計算・データ・学習」融合とポストコロナ時代のスーパーコンピューティング」

中島研吾(東京大学情報基盤センター)

講演概要を開く

スーパーコンピューティングは,従来の計算科学に加えて,データ科学,機械学習・AI等の様々な分野に適用されている。東大情報基盤センターでは,2015年頃から,「計算・データ・学習」融合の重要性に注目し,様々な研究開発を継続して実施してきた。2021年5月に運用を開始したWisteria/BDEC-01は,三者融合を実現するプラットフォームとして世界初のものである。本講演では,東大情報基盤センターの「計算・データ・学習」融合に向けた取り組みを紹介するとともに,それらの体験に基づきポストコロナ時代のスーパーコンピューティングを俯瞰し,クラウドとHPCの接点を探る。

10:40~11:00

「スーパーコンピュータ「不老」の"クラウド的な"利用の状況について」

大島聡史(名古屋大学)

講演概要を開く

スーパーコンピュータ「不老」の運用開始から丸2年が経過しようとしています。「不老」は従来のシステムと比べて多様なユーザに利用してもらうべく、多様なサブシステムによる構成、GPUの本格的な導入、機械学習ユーザ向けの情報提供、時刻指定ジョブの導入、 コールドストレージの採用など、仕様や運用に様々な工夫を採り入れてきました。本発表ではその狙いと現状について紹介します。

11:00~11:20

「京都大学新スパコンとクラウド環境」

深沢圭一郎(京都大学)

講演概要を開く

京都大学スパコンは今年度リプレイスを行い、2022年秋までに一部が稼働し、2023年3月に全体が稼働開始予定です。このスパコンでは一部システムにおいて資源拡張を実現するクラウドバースティング機能があり、今後運用していく中で活用が期待されています。この新スパコンと合わせて、従来からある京都大学のクラウド的利用が可能な仮想サーバとの連携に関して紹介します。

11:20~11:40

「SQUID/OCTOPUS クラウドバースティングの現状と課題」

伊達 進(大阪大学)

講演概要を開く

大阪大学サイバーメディアセンターでは、2系統のスーパーコンピュータシステムOCTOPUSおよびSQUIDにクラウドバースト機能を実現し、試験運用を行なっている。本講演では、本センターの考えるクラウド連動型スーパーコンピュータの運用イメージとともに、その現状と課題について報告する。

11:40~12:00

「オンプレミススーパーコンピュータとクラウドの連携」

南里豪志(九州大学)

講演概要を開く

計算機センターでは、予算額に応じて導入したオンプレミススーパーコンピュータを最大限の稼働率で運用することにより高いスループットを実現している。その反面、資源に余裕を持たせた運用が行えないため需要に応じたスケールアウトが出来ない点や、定期的な保守作業等により不定期なサービス停止が入る点が問題となっている。そこで、これらを補完する手段としてのオンプレミスとクラウドの連携運用について、九州大学のこれまでの取り組みを紹介し、今後の展望を述べる。

12:00~13:00 昼休み

<周辺ランチ情報>

13:00~15:00

パネル・ディスカッション

「HPCにおけるクラウドの活用に向けて」

モデレータ: 中島耕太(富士通株式会社)
パネリスト:
  • 宮本大輔(アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)
  • 松本 直人(さくらインターネット株式会社)
  • 松山 慎(日本オラクル株式会社)
  • 中島研吾(東京大学情報基盤センター)
  • 山本啓二(理化学研究所)
  • 高野了成(産業技術総合研究所)
15:00

閉会挨拶

中島耕太(PCCC副会長/富士通)