SCore-D をモニタする

SCore-D オペレーティングシステムは、ブロードキャストプログラムによってモニタされ、クライアントプログラムに情報がブロードキャストされます。この方法により、SCore-D には少数のブロードキャストプログラムが接続するだけですみ、たくさんのクライアントプログラムが同時に同じ情報を得ようとすることがなくなります。この様子は以下の図で表されます:
[モニタリングの様子]
SCore-D オペレーティングシステム scored(8) が走っているクラスタは図の左側に示されています。ブロードキャストプログラムは一つないし複数のサーバマシン上で起動されます。クライアントは、モニタリング情報を得るのに直接 SCore-D に接続するのではなく、ブロードキャストプログラムに接続します。

SCore ソフトウェアが提供するブロードキャストプログラムは scbcast(8) と呼ばれます。各モニタリング機能に対し一つの scbcast サーバプロセスが起動されます。現在は、sysmonsyslog および schedmon がモニタリング機能としてサポートされています。

プロセスの起動される順番は重要です。scbcast サーバは SCore-D やクライアントモニタリングプロセスより前に開始されなければなりません。SCore-D およびクライアントモニタリングプロセスは scbcast へ TCP/IP で接続を行い、SCore-D の生成するモニタリング情報が scbcast によってクライアントへブロードキャストされます。以下にプロセス起動の例を示します:

server1# scbcast sysmon
scbcast started
server1# scbcast schedmon
scbcast started
server1# scout -g pcc
SCOUT: Spawn done.
SCOUT: session started
server1# scored -sysmon server1 -schedmon server1
SYSLOG: Timeslice is set to 500[ms]
SYSLOG: Cluster[0]: comp0.pccluster.org@0...comp3.pccluster.org@3
SYSLOG:   BIN=linux, CPUGEN=pentium-iii, SMP=1, SPEED=500
SYSLOG:   Network[0]: myrinet/myrinet
SYSLOG: SCore-D network: myrinet/myrinet
SYSLOG: SCore-D server: comp3.pccluster.org:9901
<1> SCore-D: Connected to sysmon server (server1:9904)
<1> SCore-D: Connected to schedule monitor server (server1:9906)
上の例では sysmon および schedmon 機能用の二つのブロードキャストサーバがホスト 'server1' 上で開始されています。 scout(1) がクラスタ環境のために開始され、その後 scored がオプション -sysmon および -schedmon 付きで起動されています。各オプションの引数は scbcast サーバのホストアドレスです。TCP/IP のポートは指定されていないので、デフォルトのポート番号 9904 および 9906 がそれぞれ使用されます。これは上の SCore-D の出力の最後の二行からも見て取れます。ブロードキャストサーバが scored より前に起動されていなかった場合、以下の警告メッセージが出されます:
<1> SCore-D:WARNING Failed to connect to sysmon server (server1:9904)
こうしてステータス情報が SCore-D から scbcast サーバプロセスに送られるようになり、sctop(1) コマンドや Schedmon アプレットでシステムモニタリングが行えるようになります。

次の例は sc_syslog(8) コマンドで SCore-D システムステータスをモニタし、その情報をログファイルに出力する方法を示しています。まずは syslog 用にサーバを起動します:

server2# scbcast syslog
scbcast started
server2# 
sc_syslog コマンドを SCore-D システムステータスをモニタするために起動します。sc_syslog へのオプションは scbcast サーバの走っているホストと、生成したい (付け加えさせたい) ログファイルの名前です。
$ sc_syslog server2 /tmp/scored.messages
sc_syslog started.
$ 
scout 環境から scored-syslog オプション付きで起動します:
server1# scout -g pcc
SCOUT: Spawn done.
SCOUT: session started
server1# scored -syslog server2
SYSLOG: Timeslice is set to 500[ms]
<1> SCore-D: Connected to syslog server (server2:9902)
SYSlOG メッセージは 標準出力 には出力されず、ファイル '/tmp/scored.messages' にタイプスタンプ付きで出力されます:
$ cat /tmp/scored.messages
16/Feb/2000 15:22:59 <1> SCore-D: Connected to syslog server (server2:9902)
16/Feb/2000 15:22:59 Cluster[0]: comp0.pccluster.org@0...comp3.pccluster.org@3
16/Feb/2000 15:22:59   BIN=linux, CPUGEN=pentium-iii, SMP=1, SPEED=500
16/Feb/2000 15:22:59   Network[0]: myrinet/myrinet
16/Feb/2000 15:22:59 SCore-D network: myrinet/myrinet
16/Feb/2000 15:22:59 SCore-D server: comp3.pccluster.org:9901
$ 
上の図ではブロードキャストの他の利用法も示されています。他のホスト上の scbcast サーバをクライアントとして scbcast サーバに接続させることができます。これによってサーバに付加がかかり過ぎないように情報のブロードキャストをカスケードしたり、クライアントがローカルのブロードキャストサーバに接続したりすることが可能になります。ホスト 'serve3' 上の scbcast サーバは次のようにして開始されます:
server3# scbcast syslog -cascade server2
scbcast started (cascade of server2)
server3# 

関連項目

scout(1), sctop(1), scored(8), scbcast(8), sc_syslog(8)

CREDIT
This document is a part of the SCore cluster system software developed at PC Cluster Consortium, Japan. Copyright (C) 2003 PC Cluster Consortium.