機能説明


 ここは、SCore 自動構成ツールの機能に関して説明します。 まず、最初に、SCore 自動構成ツールの機能に関して説明します。 その後、SCore 自動構成ツールの構造に関して説明します。



自動構成ツールの機能

 SCore 自動構成ツールは、SCore クラスタシステムのシステム構成を、自動的に構築する環境を提供します。 SCore 自動構成ツールは、SCore の管理ノードで稼動するプログラムと各計算ノード上で稼動するプログラムから構成されます。 計算ノード上で稼動するプログラムは、計算ノードのハードウェア資源情報を収集し、管理ノード上で稼動しているサーバプログラムに送信します。 サーバプログラムは、受信したデータを処理し、クラスタ構成に関する資源管理情報の構築を行います。クラスタ全体の構成の変更に伴い、計算ノード上の設定を変更する必要がある場合、サーバプログラムは、各計算ノード上の設定プログラムを実行し、計算ノードの設定変更を行います。
 上記の SCore 自動構成ツールの処理は、以下に示す (1) ~ (4) の機能として提供されます。 SCore の自動構成ツールは、この機能を組み合わせて、システムの自動構成機能を提供します。

(1) ネットワーク上のSCoreシステムの探索機能

 ネットワークに接続された計算ノードは、起動時に、SCore の管理ノードの探索を行います。 管理ノードの探索は、管理ノード上で実行される daemon に対して、ブロードキャストでリクエストを送信する事により行います。

(2) ハードウェア資源の検索機能

 各計算ノードは、OS 起動時に SCore 自動構成ツールを起動します。 SCore 自動構成ツールは、ノードの各種構成を探知し、検出した構成情報をサーバの自動構成デーモンに登録します。 本機能は、ネットワークデバイスやネットワーク速度、CPU 数、CPU クロック等、SCore の設定で必要となるハードウェア情報を取得します。 同時に、システム構成の健全性を検証します。 デバイスドライバが組み込みこまれていない等、計算機が SCore の運用に必要な機能を提供できない場合は、エラーメッセージをログに出力し、システムへの組む込みを中断します。

(3) ネットワーク上のハードウェア資源のグループ化機能

 管理ノードの自動構成デーモンは、各計算ノードの自動生成ツールから収集された計算機の構成情報を元に、計算ノードのグループ化を行い、SCore の設定ファイルを自動生成します。 本機能は、計算ノードのアーキテクチャ構成やネットワークセグメント、トポロジの構成から、クラスタとして動作する複数のグループを作成し、結果を SCore の設定ファイルに定義します。

(4) 各計算機の設定変更

 管理ノード上の自動構成デーモンは、管理ノード、および、各計算ノードに対して設定の更新を行い、上記 (1) ~ (3) で生成されたクラスタ構成の設定情報を、SCore のシステムに反映します。



SCore自動構成ツールの構造

 SCore 自動構成ツールは、SCore の管理ノード上で実行されるプログラムと、計算ノード上で実行されるプログラムで構成されます。 管理ノード上で実行されるプログラム、ならびに、計算ノード上で実行されるプログラムの動作を、以下の図に示します。


管理ノード・計算ノードの動作

管理ノード(サーバ)

1s. Server起動処理

 SCore 自動構成ツールのサーバプログラムの起動処理を行います。 システムの初期化処理として、サーバ環境の確認、ならびに、以下に示すデーモンの起動を行います。

  1. クライアントの登録要求を受け付けるリクエストサーバ
  2. SCore 自動構成の計算機名を通知するブロードキャストサーバ

2s. 登録要求受付

 計算ノードもしくはユーザから要求される計算ノードの登録や削除の要求を受け付けます。 要求が登録の場合は、計算ノードのマシン情報が格納された「ノード情報ファイル」を受信します。

3s. クライアント登録/削除

 SCore 自動構成ツールは、内部データとして登録したクライアントの情報を保持しています。 クライアントの登録や削除の要求が行われた場合、要求内容に基づき、この内部データのレコードを更新する処理を行います。

4s. SCore 設定ファイル作成

 SCore 自動構成ツールが持っている最新の内部データを基に、SCore の定義ファイルを生成します。

5s. 環境設定の更新

 システム構成の設定を、SCore システムに設定します。4s で作成した設定を SCore システムに設定し、以下に示す SCore の管理 daemon の更新を行います。

  1. scoreboard サーバ ( クラスタリソース情報管理 daemon )
  2. msgbserv サーバ ( 計算ノードの利用状態管理 daemon )

計算ノード(クライアント)

1c. 登録/削除要求処理

 計算ノードの登録もしくは削除の要求処理を行います。 マシン起動時や終了時、または、ユーザ指定により処理が実行されます。 本処理では、管理ノードの検出を行い、検出された場合、登録・削除処理、それぞれに対して、次に示す処理を行います。 登録要求の場合、計算機にインストールされたパッケージやサービス稼働状況を確認し、SCore の計算ノードとしての条件を満たしていることを確認した後に、以下の 2c ~ 5c に示す一連の処理シーケンスを起動し、登録処理を実行します。 削除処理の場合は、3c、5c に示す処理を起動し、削除処理を実行します。

2c. マシン情報取得

 SCore 自動構成ツールのサーバに登録する自計算機のハードウェア構成情報を取得します。 ここでは、ネットワークデバイスやIPアドレス等の情報を取得し、取得した情報をノード情報ファイルに保存します。

3c. クライアント情報登録、サーバ登録処理

 マシン情報を格納したノード情報ファイルを、SCore 自動構成サーバに送信し、計算ノードの登録要求を行います。 削除の場合も同様に SCore 自動構成サーバに削除要求を行います。

4c. SCore設定ファイル作成

 各計算ノードの「ノード情報ファイル」から、SCore の動作に必要な設定ファイルを作成します。

5c. 環境設定の更新

 SCore の設定の更新、および、PM/Ethernet デバイスの設定を行い、SCore のシステムから利用可能なように、計算ノードの設定を更新します。

ユーティリティ

1u. SCore グループ情報取得

 自動的に設定された SCore の構成情報から、ユーザが利用可能なホストグループの情報を表示します。 本ユーティリティは、ユーザが、最初に、使用可能なリソース情報を取得する作業を補助します。